疲労骨折
疲労骨折は至るところで発症する可能性があり、
発症しない部位を探すほうが大変です。
ただ、よく発症する部位などは傾向があるため、
数字を知っておくと見る目が変わってきます。
指導者の方々もどういう部位で発症するかを把握しておくと、
手遅れになることが圧倒的に減りますので参考にしてください。
ちなみに
疲労骨折の部位別発生頻度では
上肢 9.2%
体幹部 23.1%
下肢 67.7%
となっているようです。
疲労骨折の7割は下半身にあるようですね。
「走る」「飛ぶ」という競技に圧倒的に多いことが伺えます。
ということで下肢の疲労骨折のベスト5を挙げていきます。
下肢ではどこに多い?
7割の疲労骨折を占める下肢ですが、
どこに多いのかランキングで見ていきたいと思います。
5位 母趾基節骨 1.5%
100人が下肢の疲労骨折できたら、
そのうちの1人か2人が本疾患ということですね。
母趾基節骨疲労骨折は今度報告したいと思いますが、
結構、見落とされがちな骨折です。
まず、こんなところに疲労骨折は起こらないだろう・・・・
と油断している医療関係者が多いでしょうし・・・
痛みが長引いて医療機関に受診も珍しくありません。
骨折の仕方は決まってまして、
赤線の部分に骨折線が入ります。
これは決まっているので、ここだけ見れば大丈夫です。
圧痛も同じ部位です。
外側と比較してみて左右差があるときは要注意です。
4位 種子骨 3.1%
足の親指の付け根あたりにある、
足の裏側の豆みたいな骨ですね
外反母趾になるところの足底側!って感じです。
これは私の感覚とは異なるのですが、
過去の報告でありますので、そういうことでしょう。
種子骨は2分種子骨といって、
もともと分裂している人も多いので、
正直判断が難しいです。
2分種子骨でも症状がある人、ない人いますし、
疲労骨折かどうかの見極めも困難。。。
いずれにせよ、経過が悪い症例は経験がないので、
発症するということを知っておくことが大切だと思います。
3位 腓骨 5,1%
ここらになると、結構頻繁に遭遇します。
陸上ランナーとか走る量が多い選手に多いですね。
腓骨はスネの骨の細い方になります。
MRIでみるとこんな感じです
腓骨周囲に炎症が確認されて、疲労骨折所見になります。
プレーし続けていても、
疼痛が強くなり走るのが遅くなって受診されることが多いです。
第2位 中足骨疲労骨折 9.7%
これも多い時期では月に5名ほど確認するほど、
多い疾患ですね。
足背部に腫れや痛みが出てきて、
骨折線が入る頃には歩行時の痛みも出現します。
ひどいときは跛行といって足を引きずって受診されます。
ジャンプなどを試しにさせてみると、
疼痛のためにまともにできません。
上記画像で確認すると、
第4中足骨の中央部に骨折線が確認できます。
レントゲンでは、このように骨折線が確認できることもあります。
発症から時間が経っているか、
負荷がかかりすぎて「ボキッ」と折れてしまったケースになります。
陸上選手、バスケットなど女性には特に多い疾患です。
第1位 脛骨疲労骨折 44.4%
過去の報告からになりますが、
脛骨がこんなに多いのか!?
という印象は否めませんが、
データとしてはこうなっています。
圧倒的に多いですね。。。
個人の感覚的には中足骨疲労骨折も同様に多い感覚ですが、
報告では脛骨疲労骨折が圧倒的ですね。
ちなみに
これは疲労骨折から完全骨折が起こり、
仮骨といって新しい骨がじゃかじゃか出ている画像ですね。
これだけ仮骨が出てくることは疲労骨折では珍しいです。
ジャンプ、ダッシュが多い競技、
バスケット、バレー、陸上はかなり多い疾患ですね。
なお、脛骨疲労骨折は跳躍型と疾走型の大きく2タイプに分けることができます。
多いのは疾走型であり、跳躍型は手術適応になることも多いです。
まとめ
過去の報告からランキング報告させてもらいました。
MRI検査の普及に伴い現在は変化しているかもしれません。
2021年現在でコロナなどの因子にも踏まえた感じでは、
中足骨疲労骨折が多い印象があります。
脛骨はシンスプリントは多いですが、
疲労骨折まで及んでいない方が多いイメージです。
ということで、今回は下肢の疲労骨折をまとめてみました。
また、報告します。
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