坐骨骨端症 (成長期の臀部の痛み)

成長期の臀部の痛み

 

運動している学生の臀部痛について話をしたいと思います。

臀部痛というのは、頻繁に遭遇しますが、年齢によって要因は変わってきます。

 

まず、中高年、高齢者では臀部痛は

●股関節由来(変形性股関節症など)

●神経由来(腰ヘルニア、脊柱菅狭窄症など)

が主な原因となります。

 

特に腰のヘルニア症状が臀部痛を生じるということなどは、

医師含めた医療関係者であれば、「まぁ そうよね」という感じで、割と一般的な話です。

 

股関節疾患でも鼠径部か臀部に疼痛を訴えることが多いです。

 

今回のテーマである学生に関しては、

臀部痛の原因が見逃されやすい疾患があります。

それが、【坐骨骨端症】という疾患になります。

 

坐骨骨端症

 

 

成長期である学生達が運動によって繰り返しの負荷が坐骨部に加わると、

坐骨部で炎症を生じる病態です。

レントゲン画像の赤丸が坐骨になります。

 

成長期は坐骨部にも成長線(骨端線)がありまして、

成長線部は大人の骨より負担に弱いことがベースとしてあります。

 

坐骨には大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋といった筋肉が付着しており、

主に膝を曲げる動作、股関節を進展させる動作に作用するため、

走る、蹴る、飛ぶなどで負荷がかかります。

 

12歳から15歳くらいの選手に多い印象ですが、

負荷が掛かり過ぎると坐骨部に炎症が生じます。

 

 

上の画像はMRI画像になりますが、黄色い矢印が坐骨部であり、

左右で比較すると淡く白く変化しております。

これが炎症を示しており、症状と一致すれば坐骨骨端症と診断されます。

 

症状というのは

いわゆるハムストリングにストレスを加えると疼痛が誘発されるかを確認します。

 

ヘルニアとの鑑別方法は色々とありますが、

簡単なことは坐骨に圧痛があるかどうかです。

 

ヘルニアでは圧痛がありません、

押して痛みがでるなら、坐骨骨端症を疑うべきでしょう。

 

まとめ(坐骨骨端症)

 

中学生年代での臀部痛はヘルニアを疑うのではなく、

坐骨骨端症をまず疑うことが大切です。

 

競技特性はありますが、

ランニングがある競技に圧倒的に多いので、

参考にしてください。

突発的な動きで急激な疼痛が出現した際は、

坐骨裂離骨折!という疾患もありますので、注意してください。

成長期の骨盤周りのスポーツ障害は数多くありますが、
医療従事者でも経験が豊富でなければ発見が遅くなることがあります。

 

一般の方でも子供の症状がおかしいと思った際は、

痛みの場所である程度見立てを立てることができますので、

参考にしてもらえれば幸いです。

 

 

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