膝蓋腱症 最新2021

膝蓋腱症について

 

2021年現在の膝蓋腱症の情報をアップデートします。

 

まずは病態についてですが、

運動している選手に多く発生する膝の痛みで、

膝蓋腱症というのがあります。

 

スポーツ選手にはめちゃくちゃ多くて、

困り具合も軽度なものから深刻なものまであります。

この疾患に関して最近の考え方の報告が出てましたので、

ポイントだけ掲載します。

 

なお、膝蓋腱症は皿の下(膝蓋骨の下)が痛くなる病態です。

ダッシュ、切り返し、ジャンプ動作が多い球技に多く発症します。

 

下の図の黄色の矢印あたりが膝蓋腱の部分になります。

 

 

病態

 

腱付着部での腱の肥厚性変性病変であると言われており、

周囲の組織との癒着、炎症などから痛覚過敏が起こるようです。

 

損傷に伴い、血管新生などが起こり、知覚神経線維が増えます。

さらに腱が変性すると腱は線維化し脆弱化するようです。

 

評価方法

症状とMRIとエコーが用いられます。

MRIでは画像のように膝蓋骨の下端から膝蓋腱が白くなり高信号を呈します。

 

Roles分類

  1. スポーツ活動後に痛み
  2. スポーツ開始時と活動後に痛み
  3. スポーツ活動中にも痛みあり、支障あり
  4. 膝蓋腱断裂

 

Popkin-Golman分類 (MRI)

  1. MRIで腱炎症所見あり
  2. 軽度の部分断裂(25%以下)
  3. 中等度の部分断裂(25〜50%)
  4. 重度の部分断裂(50%以上)

※Popkin-GolmanのGrade4は手術検討

 

治療の考え方

 

筋肉の柔軟性は基本ですが大切です。

また、遠心性収縮が負荷が大きく、

腱のコラーゲン合成、リモデリングにより組織修復を起こすようで効果的です。

また、神経線維、神経伝達物質も減少させると言われております。

 

ヒアルロン酸注射も痛覚過敏、抗炎症作用に働きかけます。

その有効性は97%をスポーツ復帰させてます。

注射の回数は2回程度のようです。

※森戸俊之ほか ジャンパー膝に対するヒアルロン酸注入療法 臨床スポーツ医学

 

他にも体外衝撃波、カテーテル治療、手術など様々な手法があります。

手術治療は効果的なようですが、

 

直接切開する方法では

復帰まで平均8.7ヶ月

復帰率78.4%

 

内視鏡手術

復帰まで平均3.9ヶ月

復帰率82.3%

 

と完全ではないですし、時間も要するようです。

奥の手という感じですね。

 

まとめ

 

膝蓋腱症でも重症度合いがありますので、

評価が大切ですね。

治療院ではRolesが使い勝手が良いのではないでしょうか。

 

エコーがあるところはエコーでの評価も有効ですね。

腱が肥厚しますので。

 

治療としては20%程度の負荷で遠心性収縮が効果的な印象がありますが、

適応も症例によってある可能性があります。

 

手術に関しては情報を持った上で選手、家族に説明すると効果的でしょう。

 

 

 

参考文献

臨床スポーツ医学  膝蓋腱症 難治性の病態と治療上の問題点

2021年7月 高橋謙二 ほか

 

 

 

 

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