危ない肋骨部痛
寒さも厳しくなっておりますが、
背部痛、胸部痛、腰痛が増えてきておりますね。
この時期の胸部痛(非外傷性)は正直原因がわからない症状もありますが、よくよく注意が必要であり、鑑別が本当に大切です。
鑑別ができなければ、最悪は命に関わることもあるからです。
痛みを緩和できる治療家であっても命に関わる疾患を見逃さないようにしなければ、何のための医療従事者かわかりません。
医療従事者として、疑いの目を持って評価し、経過を含めてRED FRAGを拾うことが極めて重要だと思います。
外傷性と非外傷性
発生機序が大切です。
肋骨、胸部痛が外傷性であればどれくらいのエネルギーで受傷したかを必ず確認してください。
高エネルギーの場合は、多発肋骨骨折が生じており、気胸、血胸などが併発して、早急な対応を要することがあります。
一方で、非外傷性でも稀に落とし穴があります。
では、9割以上と思われる疾患を列挙していきましょう。
疾患
肋骨骨折
肋間筋損傷
肋骨部打撲
非外傷性
肋骨疲労骨折
肋間筋損傷
帯状疱疹
肋間神経痛
機能的問題
肋骨骨折(脆弱性骨折)
肺病変
鑑別所見
②咳での痛み
③圧痛
④安静時痛
⑤疼痛に波がある
⑥服が擦れる痛み
⑦息苦しさの有無
⑧皮膚の確認(発疹の有無)
以上、7項目が抑えられていれば、大きな見誤りはないでしょう。
①②③は肋骨骨折及び肋間筋、肋間神経痛のような症状で生じます。
肋間筋、神経痛は圧痛がはっきりしないことも多く、骨折の場合はピンポイントで圧痛があります。
④⑤⑥は帯状疱疹か肋間神経痛です。
服が擦れて痛い方は帯状疱疹の可能性が高くなります
⑦は肺疾患を併発もしくは発症している可能性があり、
セーフティーに呼吸器科に紹介した方が良いでしょう。
胸部レントゲン検査にて、気胸などは珍しくありません。
息苦しさがなくても、発症している事例もありますので、
そのような所見があるかをカルテに残しておくことも、
リスクヘッジの観点から大切であると考えてます。
確定診断
①画像検査(レントゲン、CT)
②採血(水痘・帯状ヘルペスウイルス抗体)
まとめ
肋骨部痛は落とし穴があるため、注意深く対応しなければならない疾患です。
初期判断が非常に重要であるため、初診時に必ず所見を確認してください。
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