母趾深筋腱断裂
意外と見逃される腱の断裂です。
①母趾に物落とした(少し鋭利な物)
②母趾が屈曲強制された
という怪我の仕方で発症するのが本疾患です。
ただの打撲、捻挫で済まされる可能性は高く、注意しなければなりません。
物を落とした
①は骨折や打撲が圧倒的に頻度も高いですが、チェックすべきことに母趾の自動運動での背屈(伸展)ができるかどうかということです。鋭利な物を落とした際は可能性がありますので、必ず確認しなければなりません。当たった場所を確実に確認しましょう。皮下出血でも予測を立てることは可能です。
母趾屈曲強制
畳の隙間に足が入り込んだり、力士にも多いですが、長母趾深筋腱が伸展ストレスが断裂するケースです。これも受傷起点をよくよく聞かないと、本人も伝えられてないことがありますので、ヒアリングが大切です。
症状、理学所見
親指の付け根付近に物を落としたら必ず確認してみてください。
母趾が自分の力で背屈(伸展)できなければ、長母趾伸筋腱という腱が断裂した可能性があります。受傷直後は疼痛で背屈ができない場合もありますので、経過でのフォローも重要です。
打撲部には圧痛が当然ありますので、それで受傷起点は確認して下さい。
エコー検査機器で検査すると、確実に確認することは可能です。
他動運動では疼痛なく伸展できるが、他動では不可の場合はかなり疑います。疑った目でジロジロみて下さい。
治療
手術です。それか伸びない可能性を前提に固定して待ちます。手の怪我(マレットフィンガー)と同じで、固定することで腱がひっつくのをまちます。固定方法はなんでも良いので良肢位で固定して下さい。4週間〜6週間は固定が望ましいでしょう。
まとめ
①怪我の仕方が大切
②どこが痛いかをヒアリング
③母趾が伸びるか確認
④手術と保存の提案
⑤誤診が多いので注意
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